世界最大級のダイヤモンド鉱山(ボツワナ共和国への旅)2
第2章 ダイヤモンド
2013年ダイヤモンド業界で大きな時代の変化が起こりました。
ダイヤモンド取引の世界最大手のデ・ビアスは何十年も続いていたロンドンの拠点をボツワナに移したのです。ボツワナは世界最大級のダイヤモンド産出国で(2013年-世界2位)品質はロシア産より高いと言われ、取引額ベースでは世界1位。 デ・ビアスがボツワナにデブスワナを設立し、世界各地からダイヤモンドの研磨業者を集めることで首都ホボローネの一帯はダイヤモンド企業の集合体となっています。
ダイヤモンド原石が輝くために - 世界最高峰のカット技術がボツワナに集結 -
デ・ビアスとボツワナ政府が50%ずつ出資して「デブスワナ」という合弁会社をボツワナに設立。
デブスワナには世界のダイヤモンド鉱山「ボツワナ」「ナミビア」「南アフリカ共和国」「カナダ」から採掘されたダイヤモンド原石が集まります。(約60%以上はボツワナ)その集められた原石はカラー(色合い)・クラリティー(透明度)・サイズ(大きさ)などで細かく分類され宝飾用、アクセサリー用、工業用などに分けられます。
年10回開催される「サイト」と呼ばれる販売会でサイトホルダーへ原石の販売を行います。
デブスワナは首都ハボローネのダイヤモンド関連企業が集まるエリアがあります。そのエリアはボツワナ政府と警備会社が連携して常に警戒・警備されています。デブスワナに訪れる際にもあちらこちらに警備隊らしき姿を目にしました。
デブスワナの入口に到着すると、やはりセキュリティーゲートで留められて身分の確認。パスポートを提出後IDカードの発行を受けて内部へ入ると、さらに2重3重のゲートを抜けます。ある意味空港よりも厳重なセキュリティーチェックを受けやっとのことで中に入ることが出来ました。
厳重な警備を抜けるとそこは、大きな吹き抜けを中心に左右分かれた事務部門&原石管理部門が現れます。いくつものエレベーター、エスカレーター、セキュリティードアを通り抜けて応接室へ。デブスワナ企業の簡単な説明を受けていよいよダイヤモンド原石管理部門へ。
ここデブスワナでは30~40代を中心としたダイヤモンドのエキスパートが世界各国から集められここで働いています。基本的な会話はここでも英語、もちろん地元ボツワナの人もいてなにやら現地語で話していました。レストランも併設され食事は無料のようです。
世界のデビアス鉱山から集められたダイヤモンド原石は、もちろん大きさ・色・品質はすべてバラバラです。
まずここについた原石はサイズ別に分類されます。機械にセットされた原石はコロコロと転がり、各種サイズ別に用意された原石箱へと落ちて行きます。
次にクラリティー(透明度)を機械で分類しながら振り分けて行きます。写真を撮りたかったのですが、ここではNGでした。機械を使って大まかな分類をするのですがそれでも30~40種類に分けられてしまいます。そしてここからが原石の選別が人の目で本格的に行われます。
原石選別の作業工程を説明するために、種類別に分けて置いてくれていました。ダイヤモンドは普段見慣れているつもりではあるのですが、実際に原石の山を目の前にすると「おぉ~」っとつい声が出てしまいました。
見たことのないボリュームで200~300ctのダイヤモンド原石の山があちこちにあります。 今まで通って来た警備の厳重さにあらためて納得した瞬間でもありました。
写真左奥の写真に切れている小さな山が高品質のダイヤモンド原石になるのですが(COCCOで取り扱う婚約指輪のダイヤモンドはこのタイプ)手前の品質の原石に比べると20~30分の1以下になります。巨大な鉱山から200トンダンプカーを使って掘り起こしても高品質のダイヤモンドは本当にわずかしか採れません。
上写真のダイヤモンド原石を見て下さい。形はほどんどが不均一のごろごろとした感じです。
また、色は茶色みを帯びたものからグレー系、また内包物によってブラックに見えるダイヤモンド原石もあります。 大きさはそこそこ(原石で2~5ct)ぐらいありますが、基本的にダイヤモンドの形成がよくありませんし内包物がたくさんありますのでぎりぎり大きくカットしてもダイヤモンドの中心に黒っぽい内包汚物や傷が目だつダイヤモンドになってしまう可能性が高い原石です。
先ほどの原石に比べると透明感が高く、綺麗なカットが施されればとても輝くダイヤモンドになると思われます。ですが最高級とは言えない原石です。
よく見て頂くとおにぎりのように三角形のような形になっています。これはマクルと呼ばれるダイヤモンド原石の成長種類の1つになります。 マクルからは皆さんがよく目にする58面体のブリリアントカットより、ハートの形をしたハートシェイプのダイヤモンドにカットされることが多くなります。「歩留まり」という話になりますが、この形の原石からはハートにカットしたダイヤモンドが一番大きく取れるのです、つまりブリリアントカットにしようとすると小さくなってしまうという事です。
上下写真をご覧ください。これがダイヤモンド原石の頂点になります。約10億年以上前に地中100~200キロの地点で高温高圧にさらされた炭素の結晶体が見事に綺麗に成長するとこのような正八面体になります。
成長中に温度の変化や圧力の大きな変化があると、原石は形を崩してしまいますが奇跡的にこのように成長するダイヤモンド原石が存在します。この手の原石を綺麗にカットするとFL~VVS2の透明感の高く、かつ結晶が綺麗に成長しているので光が中を通過した時に乱反射などせずに綺麗に輝くダイヤモンドになります。
翌日は原石をカットして輝くダイヤモンドを作り出す、サイトホルダーの工場見学です。
掘り出されたダイヤモンド原石 → 種類別に原石の分類 → 綺麗に磨かれて輝くダイヤモンドへ ここでダイヤモンド原石が磨かれることによって、お店で目にする輝くダイヤモンドへと変わります。上記にもありますが、デビアスがボツワナへ拠点を移したことにより世界のダイヤモンドカッターがヨーロッパやインドからボツワナへ集結することとなりました。さらに年数が経つことでカット職人のレベルも向上しよりすばらしいダイヤモンドが海外へ輸出されるようになっています。
ダイヤモンド原石は1つ1つ専用の袋に入れられます。まず最初にスキャナで読み込まれ3D画像がパソコン上に表示されます。プランナーと呼ばれる方がダイヤモンドの原石からどのようなダイヤモンドをカットするのか会社の方針と、世界の需要を照らし合わせながら、検討します。
つまりプランナーによってカットされるダイヤモンドの形、大きさ(重量)、内包物、カットランクまでが決まります。大きさ(重量)を重視すると、理想のカットから離れる形になるため輝きが鈍ります。内包物を避けてカットすると原石よりかなり小さなダイヤモンドしかできません。そのためプランナーが理想的な形を割り出していきます。
昔はダイヤモンドの劈開面(ダイヤモンドの結晶体で分子の結びつきが弱い方向)にそってハンマーでたたいて割って形を整えていた時代がありましたが今は大粒の原石は全てレーザーで半分にカットされます。これはダイヤモンドの面を作るためのカットではなく、先ほどのプランナーによって理想の原石サイズを割り出され1つの原石から2個、3個のダイヤモンドを取り出すための作業になります。
右写真はレーザーでカットされた直後のダイヤモンドです。
半分にカットされた部分はレーザーによって焼かれて真っ黒くなっています。 もともと炭素原子でできているだけに納得ですね。もちろんこれから表面は磨きあげられて透明なダイヤモンドへと変わります。レーザーでカットする事により、より制作に、短い時間で(大きさにもよりますが5~20分ぐらい)、破損させることなく綺麗に半分にカットされます。昔は世界一硬い物質をレーザーもなく割っていたので、時間もかかるしハイリスクな作業だったと思われます。
原石をどのようにカットするか決定したらまず最初に削るのがガードル部になります。ガードルとはダイヤモンドのなかで一番直径が長い場所、つまり横から見たときに両サイドに一番出っ張っている部分にです。
基本的な寸法を決める中でガードルの直径が基本のサイズになります。間違えて小さく削りすぎてしまうと、理想のカットにするにはダイヤモンドを予定より小さなものに仕上げないといけなくなります。ダイヤモンドのカットは1つ1つの工程が完全に分業化しています。ガードルをカットする人は基本的にガードル部分の作業しかしません。
まず最初の数秒に移っているのが、自動でダイヤモンドをカットするマシーンになります。(撮影時間が短すぎてすみません。)ダイヤモンドをセットして条件を設定すると自動的に回転しながら面を磨いてくれます。あくまで簡易のラフ研磨作業になりますので、その後手作業で本格的な研磨をします。
残りの部分がカードルをカットしている映像で、少しずつダイヤが削れてダイヤモンドの粉が飛んでいるのが見えます。
ガードルカットの後はクラウンと呼ばれガードルより上の部分、つまり皆さんが普段見ているダイヤモンドの面を磨いていきます。
磨く部分によって全て部屋が異なり10以上の小部屋に分かれて作業が進められていきます。写真を見てもわかるように作業している多くが女性です、日本の小さなパーツを作る工場でも女性の方が組みたてしていたのを思い出したのですが長時間、細かく繊細な作業をするには女性が向いているとか。
こちらのカッティング工場の研摩部門のセンター長も小柄な女性の方でした。 アフリカの女性がメインで働ける職場があるってすばらしいなと思います。
上面を磨かれると次は、パビリオンと呼ばれるガードルより下の部分(とんがっている面)のカット作業に入ります。同じようにパビリオンカット専用の部屋に移動です。最初に3Dで計測したデータはあくまでもコンピュータが計算した見積もりにすぎません。カット職人の技によってクラリティーやカラーそしてカットのランクを上げることも可能なのです。見積もりより良いダイヤモンドに仕上げると職人の評価が上がるシステムです。
ブリリアントカットの場合58面体の面を整えるのはもちろんですが、表面の仕上げ具合(研摩)も大切になります。
よく鑑定書にトリプルエクセレントという記述がありますがその3つのうち1つが研磨の質を評価しています。内包物によっても影響はされてしまうのですが研摩をより綺麗に仕上げることでダイヤモンドの中を通過する光の乱反射を少なくして、より輝くダイヤモンドになります。
左の機械はその表面をレーザーでチェックする装置です。肉眼ではわかりずらい研摩の出来具合を一目で確認する事ができます。(グリーンのもやが出ている部分が磨き残し)
最後に通されたのが、仕上がったばかりのダイヤモンドが並ぶ最終管理室。上のダイヤモンドはともに8.0ctを超える超大粒のダイヤモンドです。
多少黄色みはありますが、8.0ctupのダイヤモンドはなかなか日本国内でも目にすることが少ないダイヤモンドです。
この素晴らしいダイヤモンドを手にとって見たときの感動は今でも忘れません。このダイヤモンドの輝きにはボツワナ国民の、鉱山の、カット職人の、色々な人の夢が詰め込まれている気がしました。
今までの日本国内に持ち込まれたダイヤモンドを海外のバイヤーと交渉して手に入れていたダイヤモンド。実はその前には今回の旅で知った壮大なストーリーがありました。安いだけのダイヤモンドならインターネットオークションや激安ダイヤモンドショップで手に入ります。それは資産としてのダイヤモンドの価値を知っている人が1.0~3.0ct以上のダイヤを購入するときに利用するのが理想です。
※追記 2018年頃より合成ダイヤモンドが市場で目にするようになりました。簡易の検査では天然か合成かの判断はできません。天然ダイヤモンドとの価格差は70~30%と合成会社によって大きく異なり、まだまだダイヤモンドの価値として見合うのかは不透明です。詳しくは後日コラムに掲載いたします。
COCCOでは10億年以上前に地球が作りだし、様々な人の夢を乗せたダイヤモンドをお届け致します。
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